Julio Llamazares
この小説を読むことで、あなたの世界は全てが変わってしまうだろう
沈黙と記憶に蝕まれて、すべてが朽ちゆく村で、亡霊とともに日々を過ごす男。「悲しみ」や「喪失」といった言葉はこの小説には必要ない。悲しみや喪失は、ここには空気のように偏在しているから。なのに、なぜ、すべてがこんなにも美しいのだろう?
—柴田元幸
「ことばが生まれる時は、そのまわりに沈黙と混乱が生じるが、それと同じように記憶もまた自分のまわりに厚い霧の壁を作り出す…しばらくして、私は理解した。
どのようなものも以前と同じではない、思い出といっても、しょせん思い出そのものの震える反映でしかないのだ、また、霧と荒廃の中に消え去った記憶を守ろうとするのは、結局は新たな裏切り行為でしかないのだということを」
『黄色い雨』
フリオリャマサーレス/木村榮一訳