Félix Vallotton
―Pale.
うす暗い,青白い,蒼白色,蒼白,血の気が無い,色褪せる,青ざめた
ヴァロットンの絵画を初めて見たとき、「Pale」という言葉が浮かんだ。
日常の中にある「何かが始まる 一呼吸手前の」瞬間
いや、もしかしたら「何かが起きた すぐあとの」瞬間かもしれない
読み取れない人物たちの表情、 掴めないその場に流れる空気
喜劇なのか、悲劇なのかわからない
しかし、この「Pale」がどこまでも不穏で、どこまでも何かをふくんでいて
ここでこれから起きること・ここでさきほど起きたことは
登場人物の「数奇な」運命なのだろうと
いままでその場の中心にいたはずの自分が
すーっと抜けて額縁の外にでてしまうように
とりとめのない、
世界と交わることのできない哀しみと誇りが 全身をつつみ、身震いした。